叫ばない生き方~ムンク展へ

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メトロの中で、最近よく見かけるポスターがずっと気になっていました。

「エドヴァルド・ムンク展~アンチ・叫び」




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フォーションやエディアールなど、名だたる食料品店が軒を連ねるマドレーヌ寺院の一角に、


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近年オープンしたばかりの展示会場、ピナコテック・ド・パリ。

文化・芸術に造詣の深い頼れるおねえさま、k-coさんがチケット買って入り口で待っていてくれました。



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展示は、この絵から始まっていました。

愛と死と不安。 小さいときの実体験から、ムンクの絵にはいつもこの3つが付きまとったと言われています。

今回の展示は「叫び以外のムンク」という興味深いテーマです。



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ノルウエー・オスロに生まれたムンクは、フランスやドイツ、オランダでの活動経験もあり
同時期の画家たち、ゴッホや、ゴーギャンの影響も受けていました。


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会場は比較的、年配の観賞者が多く、とても混雑していました。

2月から7月までの展示で、週末よりも平日のほうが比較的空いていると伺いました。
4月~5月は、フランス国内のみならず、近隣諸外国のムンクファンも押し寄せるということ。



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ムンクの作品で、おそらく「叫び」の次に有名なのはこれかも知れません。

「マドンナ」。


官能的にも見えるこの女性の表情、周りを泳ぐ生命の素や、胎児・・・。



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「吸血鬼」
 
白黒の版画で、妖気が漂っていました。



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会場には年代ごとに説明のボードがあり、当時のムンクの活動、他者との関わりがわかります。


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海辺に立つ男女。 女性の背筋はまっすぐに伸び、すべての意志が決まっているように見えます。
男性には、まだ迷いがあるかのよう。

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ワインボトルが描かれた作品を発見。

沈痛の面持ちで持つグラスの中は、どんな液体が。


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1時間半ほどで、観賞終了。出口には明るいお土産売り場があります。


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数枚の絵ハガキを購入。


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私がムンクの「叫び」を実際に目にしたのは、1990年。

ノルウエー・オスロのムンク美術館を母と訪ねたときでした。

「叫び」は、この人物が叫んでいるのではなく、フィヨルドのそばを歩いているときにふいに聞こえた
避けようのない「叫び」に耳をふさいでいる姿。



20年前の自分は、この絵の持つ意味を考えることもなく。

ただただ、「有名な絵をこの目で見ました」という事実に満足していたように思います。


叫び以外のムンクを本日見たときに、自分の目や心の変化を感じたことが大いなる収穫。


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ランチはサンジェルマン・デ・プレに移動します。


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フィガロ・ジャポンの記事で見て以前から気になっていたレストランへ。

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紫の濃淡、そして白、小さなライトでちりばめられたセンスのいい空間。


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壁に飾られた照明も、天井のシャンデリアも華美すぎず個性的。


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グラスワインで乾杯! k-coさんはプイイ・フュメ。私はブルゴーニュのシャルドネ。



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噛み応えのある田舎パンは、温められてこんなにシックな布袋に入って提供されます。

ペッパー・ミルも紫色で可愛い。


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k-coさんは、タイのローストに野菜をパスタ状に添えたものを。


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私のメインは厚みのあるマグロをレアに焼いて、2色のアスパラと共に。

このお店の魚はすべて、ブルターニュから直送なのです。



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お会計のレシートは、こんなアジア風の缶に入ってきます。



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すぐ近くのサンシュルピス教会へ。 教会前の噴水広場。


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数年前、ダビンチコードでひときわ脚光を浴びました。


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金色に輝く奥の祭壇。


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毎週日曜日はミサの参列者でこの椅子は埋め尽くされます。


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すぐ近くの「寿月堂」へお茶をいただきに寄ります。


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この壁は季節ごとにモチーフが変わるそうで、今はもちろん「桜」。



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今日はお抹茶のセットをいただきました。

お菓子は両国屋是清の「千日桜」。


午後のひととき、k-coさんとムンク展を振り返り、これからの文化活動計画?を話し合い。

「本当はここでゆっくりお茶をいただいている場合ではない状況の自分たちでも、
こういうひとときを過ごせるのはイイね。」

「まだ大丈夫、でも大丈夫、と思える余裕は必要なのでは。」



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ぶらり歩いて、老舗デパートのボンマルシェでチーズやバターを買って帰ります。

途中の公園の芝生には、日光浴をする気持ちよさそうな人々がいっぱい。








今日、4月18日は父の33回目の命日。

私が中学1年になってすぐの春、心筋梗塞であっけなく逝ってしまった父。

本が好きで、いつも何か勉強をしていました。

父が今、私の叫びを聞いたら、どんな顔をするのでしょう。






愛と死と不安は、ムンクだけではなく、誰にでも隣り合わせ。



葛藤の中で言葉にならない叫びはあるとしても、平然と生きる強さを持ちたい。







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偶然

ピノちゃんこんばんはv-483

つい先日TVe-288でムンク特集を見たばかりでしす、
「叫び」や「マドンナ」以外の作品を初めてゆっくり見ましたよ。

そして、いちどじっくり見てみたいな、って思ったのです、
思いがけない偶然で、ピノちゃんちでこうしてムンクの絵を拝見できるなんて、
嬉しい偶然でございました。

芸術に美味しい物にお買い物、充実した1日ですねv-432

ピノちゃんもお父様早く亡くされたのですね、
私の父も朝会話したのに、
学校から帰った時には昏睡状態で、その夜に亡くなったのでした。
高校3年の冬でした。。。

難解ですね。

ムンク、難しいですねー。「マドンナ」や「吸血鬼」なんて、どんな心情で描いたのでしょう。 愛と死と不安が付きまとったなんて、心の底からの深い叫びがこの黒さなんでしょうか。
怖いもの見たさでムンクの世界をちょっと見てみたいと思いました。

お土産コーナーでホッとしました(笑)

思い出します。。

懐かしい思いで拝見しました。
何年も前に東京で「ムンク展」があった時、姉と観に行きました。
・・本当に不安になる絵が多いですよね、ムンクって。
ゴッホもそうですが、共に精神の淵を歩いていたのでしょうか。

尖っていた20代の頃はシーレやムンクなど、心の葛藤を描いたものに共感を得たものですが、流石に私も丸くなったのか(?)重く感じますね、、、^^;

それにしても、写真撮影OKってすごいわ!
日本じゃ考えられないですよね。。それとも厳しいのは日本だけ?
海外の美術館では、よく学生が摸写していますものね。

父の思い出

☆小鞠ちゃん

たくさんの画家の作品を大きな美術館で見るのも楽しいですが、
今回のように、あるひとりの作家の作品を、初期から晩年にかけて
ずっと眺めていく、というのも贅沢な時間だと思いました。

家に帰ってムンクについて、いろいろネットで復習して、やっとわかったこともたくさんあります。生涯を説明したボードの前は、すごい人だかりで立ち止れないところもあるぐらいでした。

小鞠ちゃんのお父様も突然お亡くなりになったのですね。
うちの父も、明け方急に苦しんで救急車を呼び、その中で亡くなりました。母が今、長く闘病しているのは、父の時とは真逆だな、と感じる時もあります。

父は非常に厳格で、私は毎日日記を書いて父のサインを寝る前に受けていました。この前、押入れの奥からそれを発見して、びっくり。

背景。

☆よしこさん

ムンクは5歳で実母を肺炎で亡くし、10代の頃に姉も亡くしているようで、幼い頃の肉親の死や、その後の自分の恋愛経験など複雑な心情で生涯独身だったそうです。

今回見た絵の中で、キャンバスのすみがそのまま、何の色も乗らずに残されているようなものもあり、それはモネや、他の作家にもありえることですが、画家が、「これで完成」と思って筆を置くのは一体どこなのだろう、と。

凡人は、もう一色、もうちょっと、ここを加えて・・・とか、次から次へと
手が止まらなくなりそうなところ。天才は、描きたいものを描き終わる
見極めが潔いのでしょうね。

厳戒警備。

☆グラナーダさん

なるほど「精神の淵」、おっしゃるとおりですね。
このように見る者の心のひだを震撼させるような作品を生む画家は、
狂気に近い何かを感じながらの活動なのですね。

ムンクは数年前も盗難事件があり、「叫び」も「マドンナ」も修復が困難を極めたということで、この展示会は警備の方が驚くほど多かったです。とくにマドンナは厚いガラスに収められていたし、周囲をぐるりとガードマンが囲んでいました。

フラッシュ禁止は当然ですが、あとは絵との距離も大変近いし、
ありがたいことだと思っています。

こんばんはー。

ピノさん、こんばんはー。
ムンク作品展、日本に来た時に観に行きました。
昨日、チケットを整理していたら出てきて。
叫びはあったのかな・・・とかなりうる覚えです(汗)
叫んでいるんじゃないんですね~。絵の持つ意味、わからずに
見てました・・・。

ピノさんのお父様は心筋梗塞で亡くなられたのですね。
うちの父親も私が中学生の時に心筋梗塞で倒れました。
運よく、快方に向かって今も元気にしています。
あの時、父は40代。自分もその年に近づいてます~。

No title

カルチャー系週末の過ごし方・・・さすがピノちゃんピナコテックに行ったのね~。
あそこはいつも興味深い企画をするけれど なかなかいくチャンスがなくて・・・。
今度声を掛けてくださいませ。

St Sulpice教会は パイプオルガンのコンサートが好きで3回ほど聴きに行きました。
オルガン奏者のアドリブがとても素敵なの。
「Da Vinci Code」まではローズラインがあるのも知らなかったけど
実際に目にしたときには ちょっとぞくぞくしたっけ。

叫ばない生き方・・・
案外 叫ぶとすっきりすることもあるよ?(笑)

叫びの意味

☆kashちゃん

みなさん日本のムンク展、かなり見ておられますねー。
そう、「叫び」。私もあの人が叫んでいるのだとずっと思ってました。
でも違ってて、叫んでる声に耳をふさいでいるっていうことを知って
うーん、周りの空も雲?も全部不安をあらわしている~って・・・

美術・芸術は見た後の復習も楽しい。
もっといろんな展示会に出かけたいと思っています。

Kashちゃんのお父様は心筋梗塞、乗り越えて良かったですねー。
うちの父はすごく太っていたから、心臓に負担がかかりすぎだった。
寿司だ、ステーキだって食べまくっていたからね。(不思議とお酒は飲まない人だった)
親孝行たくさんしてくださいねー。

叫ばせてもらってます♪

☆りこちゃん

あ、私、叫ばない生き方なんて言ってますけど、りこちゃんには何度も何度も叫んでました~。
「りこちゃーん」っていう応援の叫び以外にも、助けてーの叫びも過去何十回もさせてもらったかも。

ピナコテック、良かったよ。中は迷路みたいになっていて、重厚な美術館っていう印象ではないんだけど、新しいスタイルの展示会場ね。作品を際立たせる照明とか、ブースごとに印象付けるというバランスが、規模的にとてもよかった。
ムンクは7月までだけど、また秋以降、面白い企画が来たら一緒に行こうね。

サンシュルピス教会、外観は今工事中だけど、中はガラ~ンと空いてました。ダビンチコードの時は、貼り紙まであったというから
すごい人気だったんでしょうね。

ムンク。。重かったね。

小さい頃からいつも死と隣り合わせにいたという事実は生涯を貫き影響を与えるものですね。
ゴッホやゴーギャンの影響を受けていた頃の絵は驚く程明るいけれど、、、。
”吸血鬼”の本当の題名は”愛と死”だったのだけれど、この絵を見た友人が、これは女が男の血を吸ってる様に見える”と言い、題名が変わったそう。そういう裏話が色々あるので絵画は面白いよね。
初夏の様なさわやかな土曜の午後にみほさんとランチ、お散歩、お抹茶まで体験しとっても有意義な一日をありがとう!
次は宴会部長の企画待ってますよ♪

No title

ヘッ・・・・??
この絵の人が叫んでいるんじゃないんだぁ~~。
まさか、耳をふさいでいるとは。 知らないって、イヤだわぁ^^;
早速rina&yuyaに教えなくちゃ!!
う~~ん、なんだかスゴイ絵ばかりなのね、穏やかな絵も描いたのかしら。
まぁ~それを言っちゃぁー叫ばない日がないワタシに、穏やかな日が無いのと一緒だけど^^;

そういえば、中学の時に亡くなったんでしたネ。
ワタシたちが机を並べてから33年、同じ年月だネ。

年をとること

ムンク 面白いですね。
昔見た絵や、小説を 今、見たり、読んだりすると、
昔とは全く違った思いを抱く事が出来ることがことが
最近よくあります。
「叫び」もそうです。 
今ならば、避けられないものから
耳をふさぐことでしか身を守れない心境。
自分の中にある不安や渇望。
叫びたいけれど叫べない心境がよーく分かります。
そういう時、ある程度年をとってしかわからないものがあるんだなあ
と、年を重ねることがいとおしくなる時があります。

お父様、早くに亡くされたのですね。
お母様も、実保さんも大変でしたね。
実保さんの今の活躍をきっと微笑んで応援してくださっていると思います。

叫ぶとき・叫ばないとき

ピノちゃんのお陰で、日本に居ながらにして素敵なパリのあれこれを
いつもいつも楽しませてもらっています。
パリはルーブルでも写真OK・模写OKで、さすが芸術の都だなぁと
思います。フラッシュ焚かなけりゃ大丈夫なのにね。日本はつまんないわ。

4月18日は母の78回目の誕生日でした。今秋、父が亡くなって42年経ちます。
私は小学3年生で、大手術の後あと10日で退院という2学期の始業式の日のこと。

叫ぶことも時には解放されるし、叫ばないことの強さも、上手くバランス取れるといいな。

「とらや」がパリにあるのは知っていましたが、両口屋のお菓子までいただけるなんて!

ためになる解説

☆k-coさん

この日も、k-coさんの貴重な土曜日の珍しい休日、朝から夕暮れまで私と一緒に遊んでくれてありがとうございました。

ムンク展、回りながらさりげなく教えてくれる「見どころ」、とっても参考になりました。ひとりで行ってたら、まず最初の混雑で落ち着かなかったと思うの。

ちょっと離れたり、ぐっと接近したり、k-coさんの絵との向き合い方、距離感も非常に参考になった。

お昼もお茶も、いい時間でした。居住者が観光客になれる街としても
パリって魅力が尽きないね。

5月、夜の部、私が考えておきます。暗くなったらお任せよー♪

穏やかな絵も。

☆diadianちゃん

作品の大半から「不安」な精神状態は感じたけど、明るさのある絵もあったわ。ムンクはあちこちの国に留学してそこで活動してるから
フランスの海辺の絵など、特に明るい。

「叫び」は、メールの顔文字の原点だと思えば、それ自身が叫んでいるように見えるけど、耳をふさいでさらにあの表情だものね。
逃れようのない、止まらない、どんな声が聞こえたんだろう。

中学1年の4月18日って、入学してすぐだったでしょう。
だから、父のお葬式は小学校時代の友人がほとんどだったの。
中学入って、3つの小学校が合わさって、まだ友達も出来ていないころに忌引きでずいぶん休んだから、学校に再登校するのに緊張した記憶があるよ。
1年2組。懐かしいねー。

人の熟成。

☆mihokoさん

お元気で新しい春を迎えておられるようですね。
お仕事は、いかがですか?

年を重ねるのは、悪いことばかりでもないですね。
身体的にはできなくなることも多いけど、頭や心は複雑味も帯びますね。凝り固まってはイケナイので、時々は頭もゆすってます。

mihokoさんと初めてお会いしたのは、もうずいぶん前になりますが
第一印象が「考え深い人」。
そして、きっと切り替えも早いのだろうと、のちのち感じていました。

一緒にいつかじっくり、飲みたいですね、同じ生まれ年のワインを。

お母様のお誕生日。

☆さち姉さん

パリ、楽しんでいただけてるようで嬉しいです。
私もさち姉さんのブログで、足利方面だいぶ詳しくなってます♪

4月18日、お母様のお誕生日おめでとうございました。
さち姉さんは親孝行で、お母様と素敵な場所へランチにお出かけですよね。お父様を早くに亡くされたんですね。
うちの父が亡くなった時、母は38歳でした。今思えば、若かったし、
いろいろ苦労があったのだろうに、子供の私はちっとも親の手伝いをしなかったんです。

親を思う気持ち、生んでくれたことに感謝する気持ちをずっと持ち続けたい。そう思えるようになったのは、自分が30を過ぎてからでした。

和菓子、日本から空輸でパリへ届くそうです。濃い抹茶と一緒にいただいて、至福の時間でした。
プロフィール

Author:ピノミホ
趣味から始めたワインの勉強、人と語らうことが大好きでおもてなしを積み重ねた経験、それらを集結して「CEPAGE」を実らせて満17年を迎えました。
小さなサロンのテーブルに、今日も美味しいお皿を運んでいます。

ワインの熟成と同じように、ゆっくり、味わい深い時間を過ごせる日々を願って。

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